学生時代、使い込んだツルツルのスッカスカボールで練習して、いざ公式戦に出るとニューボールのボールの「走り」に対応できず、序盤ボロボロという苦い経験があります。
当然これは論外でして、競技志向(試合に勝つことが目標)で練習をしているのであれば、練習で使うボール選びは結構重要です。
大会使用球は当然私達では選ぶことができないので、目標とする大会で使うボールに慣れておくことが大事になってきます。
最近は、仲間内の基礎練の成果を、「公式戦」や「草トー」、「試合メインのテニスオフ」で試している感じで、色々なメーカーのニューボールを打っています。
基礎練でも数種類の球種を使っているので、少しづつボールの「違い」が感じられるようになってきました。
本記事では、各メーカーの製品を
- 打球感(重さ)
- 反発性
- 耐久性
という観点で評価をしてみたいと思います。
合わせて、
- テニスボールの基礎知識
- 私がおすすめする練習ボール
についてまとめていきたいと思います。
【基礎知識】テニスボールの種類について
テニスボールには、
- プレッシャーボール
- ノンプレッシャーボール
の2種類があります。
プレッシャーボール
プレッシャーボールは、容器に圧縮空気が入っていて、内部の空気圧を高くしてある状態のボールのことを表します。
ボールの内圧とゴムの力で弾むのが特徴です。
「カシュッ」と開けるタイプはプレッシャーボールです。
ノンプレッシャーボール
一方のノンプレッシャーボールは、ボールの内圧は関係なく、ゴムの力だけで弾ませるのが特徴になります。
こちらは上記の商品画像の通り、剥き出し状態で売られています。
両者の違いは何?
- ノンプレッシャーに比べ打球感が軽い
- 試合球に近い感覚で練習ができる
- 開封直後から徐々に空気が抜ける為、劣化が早い
- ノンプレッシャーに比べ、ちょっと高値
- 打球感が重い
- 耐久性が高い(フエルトが持つ限り使える)
- 安価である
- 試合球とは感触が全然違う
といった特徴から、試合に出る方はプレッシャーボールで練習をした方が良いと言えます。
たまにプレーを楽しむのが目的でしたら、空気が抜けず長く使えるノンプレッシャーボールがおすすめです。
空気が抜けきったプレッシャーボールよりは、ノンプレッシャーの方が良いので、
「あっ、ボール忘れた(`・ω・´)」
という時用に、車の中に置いておくと良いかもしれませんね。
【テニスボール】製品レビュー
ここから各メーカーのボールのレビューと評価をしていきます。
ボールの評価は、
★:1ポイント
☆:0.5ポイント
としてみて下さい。
DUNLOP
- DUNLOP FORT
- 打球感(重さ):★★★
- 反発 :★★★
- 耐久性:★★
日本国内では、「キングオブ・テニスボール」と言える程、有名なボールです。
学生時代の大会から、現在も地元の県大会などで公式球として使われています。
打球感は柔らかくソフトで、打ちやすく感じます。
が、空気の抜けが早いのか、試合中盤以降はボールの走りがなくなってくるのが、私的には残念なポイント。
- DUNLOP オーストラリアンオープン(AO)
- 打球感(重さ):★★★★
- 反発 :★★★★
- 耐久性:★★★
4大大会の1つである全豪オープンの公式球です。
国際大会向けなのか、FORTよりも打ちごたえ、反発性が高く、ボールのへたりも少ない印象。
個人的にはFORTよりも好きな打球感です。
試合に向けたマッチ練習向けのボールだと思います。
- DUNLOP セントジェームス
- 打球感(重さ):★★★
- 反発 :★★★☆
- 耐久性:★★★
すごくザックリ言うと、
「フォートに似た打球感でちょっと耐久性に優れる」
という感じです。
フォートよりも安いので、フォートを使う大会前の練習に最適なボールです。
- DUNLOP セントジェームス プレミアム
- 打球感(重さ):★★★
- 反発 :★★★☆
- 耐久性:★★★★
セントジェームスよりも耐久性に優れたボールです。
持ちが良いので、3ヶ月くらい使う球出し練習用なんかに適していると思います。
打球感はセントジェームスとほぼ変わりません。
BRIDGESTONE
2020年でブリジストンはテニス事業から撤退してしまったので、ブリジストンボールは市場からなくなります。
後継となるボールが名前を変えてテクニファイバーから発売されました。
- 打球感(重さ):★★★★☆
- 反発 :★★★★
- 耐久性:★★★
- BRIDGESTONE XT8
「毎日テニス選手権」などのビッグトーナメントで公式球として使われている、こちらも超有名なボールです。
日本一草トーを開催している、「インスピリッツテニスクラブ」の公式球も「XT8」です。
特徴として、ボールが硬く(内圧が高い?)ボールの走りがとても良いことが挙げられます。
自分のサービスが調子良い時などは、この走りが大きな武器となるのですが、相手のショットが良いときも伸びてくるので対処が厄介・・・
フォートよりも若干耐久性があると感じています。
- BRIDGESTONE NX1
- 打球感(重さ):★★★★★
- 反発 :★★★★
- 耐久性:★★★☆
「XT8」より少し柔らかいけど、「フォート」や「セントジェームス」よりは硬めで、耐久性があると言う評価です。
私は非常にバランスが良いと感じていて、使用頻度の高いボールです。
TECNIFIBRE
- X-ONE
- 打球感(重さ):★★★
- 反発 :★★★
- 耐久性:★★
ブリジストン「XT8」の後継といわれているボールです。
実際に打ったところ「XT-8」よりもマイルドで反発が抑えられている印象で、万人受けするボールになったと思います。
「XT-8」が硬くて苦手だった人にも受け入れられそう。
耐久性は高くないので、公式戦を想定したマッチ練に最適です。
詳細レポートはこちらをどうぞ。
- COURT
- 打球感(重さ):★★★★
- 反発 :★★★★
- 耐久性:★★★★
ウーブンフェルトを使用した「公式球の打球感を持った練習球」です。
柔らかさと反発のバランスが良くて、心地よくボールを打つことができました。
マッチ練に適したボールだと思います。
詳細レポートはこちらをどうぞ。
- NFX
- 打球感(重さ):★★★☆
- 反発 :★★★☆
- 耐久性:★★★★
ブリジストン「NX1」の後継です。
名前が変わっただけでなく、ウールの量を増やしたり、コア部分に特殊加工を加えた、NX1の進化版です。
実際「NX1」よりもソフトになっていて、扱いやすくなっています。
詳細なレポートはこちらをご覧ください。
HEAD
- ペン(Penn)
- 打球感(重さ):★★☆
- 反発 :★★★
- 耐久性:★
アメリカで人気のある練習球のようです。
私はコストコへ行った際、かなり安めで売っていたのでまとめ買いして一時期使っていました。
打球感としては、平均的で普通に打ちやすいのですが、耐久性にかなり難あり。
フエルトの消耗が早く、あっという間にツルッツルになってしまう感じです。
1回の練習で使い捨て前提であれば、コスパが良いのではないでしょうか。
Wilson
- US OPEN EXTRA DUTY
- 打球感(重さ):★★★
- 反発 :★★★
- 耐久性:★★★
大学時代、学内の大会で使われていたボールです。
最近でも、たまに試合をしてもらうテニスオフ主催者が愛用していてちょくちょく打っています。
特別硬いわけでも、空気抜けが早いわけでもない、オーソドックスなボールだと思います。
SRIXON
- SRIXON HD
- 打球感(重さ):★★★☆
- 反発 :★★★★★
- 耐久性:★★★★
このボールも、たまに伺うテニスオフ主催者が愛用しているボールです。
このボールは個人的にちょっと苦手・・・
他のボールに比べ、吹っ飛ぶ感じがして収まりが悪く、なかなかアジャストできませんでした。
耐久性は結構高め。
特にボールへのプリント力?が高く、文字が剥がれにくく、ガットが汚れにくいという特徴があります。
空気も抜けにくく、ヘタレにくい印象です。
YONEX
- チャンピオンシップ
- 打球感(重さ):★★★☆
- 反発 :★★★★
- 耐久性:★★★★☆
2021年発売が始まったボールです。
フェルトが毛羽立ちにくくて、耐久性が高く打球感が落ちにくい練習用のボールです。
他メーカーの練習用ボールに比べると若干ソフトな打球感だと思います。
詳細インプレはこちらです。
- ツアー
- 打球感(重さ):★★★
- 反発 :★★☆
- 耐久性:★★★
公式戦で使用するボールの打球感や毛羽立ちに近い、打ちやすいボールです。
品質が良いのに値段も安めという一般プレーヤーにありがたい設定。
耐久性はそれほど高くないので、試合練習がメインで練習のたびにニューボールを使いたい方におすすめ!
Prince
- CHAMPIONSHIP
- 打球感(重さ):★★★★
- 反発 :★★★★
- 耐久性:★★★★☆
あまりボールのイメージがないプリンスですが、ボールもあります。
打球感のマイルドさと反発性が高次元で両立していて打ちやすいボールでした。
ITFとJTAに公認されているだけのことはあり、非常に品質の良いボールだと思います。
比較サマリー
それぞれのボールの特徴を一覧でどうぞ。
スマホでご覧の方は画面を横にしていただくと見やすいです。
メーカー | 製品 | 打球感(重さ) | 反発 | 耐久性 |
---|---|---|---|---|
DUNLOP | FORT | ★★★ | ★★★ | ★★ |
DUNLOP | オーストラリアンオープン | ★★★★ | ★★★★ | ★★★ |
DUNLOP | セントジェームス | ★★★ | ★★★☆ | ★★★ |
DUNLOP | セントジェームスプレミアム | ★★★ | ★★★☆ | ★★★★ |
BRIDGESTONE | XT8 | ★★★★☆ | ★★★★ | ★★★ |
BRIDGESTONE | NX1 | ★★★★★ | ★★★★ | ★★★☆ |
TECNIFIBRE | X-ONE | ★★★ | ★★★ | ★★ |
TECNIFIBRE | NFX | ★★★☆ | ★★★☆ | ★★★★ |
HEAD | ペン | ★★☆ | ★★★ | ★ |
Wilson | US OPEN EXTRA DUTY | ★★★ | ★★★ | ★★★ |
SRIXON | HD | ★★★☆ | ★★★★★ | ★★★★ |
YONEX | チャンピオンシップ | ★★★☆ | ★★★★ | ★★★★☆ |
YONEX | ツアー | ★★★ | ★★☆ | ★★★ |
Prince | CHAMPIONSHIP | ★★★★ | ★★★★ | ★★★★☆ |
おすすめ練習ボールは
どんな練習に重点を置くかによっておすすめが変わってきます。
というのは、例えば球出し練習をメインに行うのであれば、60球くらいを一度に開けて
しばらくの期間使い続けると思います。
そうなると耐久性が重要になってきます。
一方マッチ練習をメインに行うような方であれば、公式戦を見据えて練習していると思うので、試合に使い打球感のボールがお勧めになってきます。
そうなると、品質と値段(練習のたびにNew缶を開けると思うので)が重要になってきます。
球出し練習にお勧め
耐久性に優れたこちらがお勧めです!
- テクニファイバー NFX
- YONEX チャンピオンシップ
マッチ練習にお勧め
品質とコスパのバランスが良いこちらのボールがお勧めです。
- DUNLOP セントジェームスプレミアム
- YONEX TOUR
- テクニファイバー COURT
【豆知識】四大大会公式球は?
- 全豪オープン
2019年に向けて練習するザリーナ・ディアス選手🔥
年内最初のグランドスラム「全豪オープン」に向けて、来年からの大会使用球であるDUNLOPのボールで練習です🎾👊
来シーズンが待ちきれません!😏 #AusOpen #AO2019 #DUNLOP #officialball #teamdunlop pic.twitter.com/ouRNaiAhwW— Dunlop Tennis Japan_ダンロップテニス (@dunloptennisjp) December 17, 2018
2019年からダンロップのボールが公式球として使われています。
- 全仏オープン
地元フランス「バボラ」のボールが公式球として扱われていましたが、2020年から「Wilson」のボールが公式球に変わっています。
- 全英オープン
日本ではあまり見かけない、スラセンジャーのボールが使用されています。
サービスエースが量産されないように、内圧が微妙に調整されているとかいないとか・・
- USオープン
先ほどもご紹介した、ウイルソンのボールが公式使用球です。
まとめ
以上、テニスボールの評価でした。
トッププロでもコートサーフェースやボールにアジャストするために結構入念に調整を行なっています。
たまに、
「この大会のボールは速すぎ(遅すぎ)る」
といったトッププロのインタビュー記事が挙げられています。
それくらいプレーに影響を及ぼす大事な要素です。
私たちアマチュアでもボールアジャストを意識することで、大事な大会の結果が変わってくるかもしれませんね。
本記事が一つの参考となれば幸いです。
テニスボール Q&A
テニスボールのプレッシャー、ノンプレッシャーの違いは何?
プレッシャーボールは、容器に圧縮空気が入っていて、内部の空気圧を高くしてある状態のボールのことを表します。ボールの内圧とゴムの力で弾むのが特徴です。一方ノンプレッシャーボールはゴムの力だけで弾み、空気抜けの影響がなく耐久性が高いところがメリットになります。(詳細はこの記事をご覧下さい。)
安さを重視したおすすめプレッシャーボールは?
ヘッドブランドの「ペン」がおすすめです。打球感・反発も悪くなく練習用ボールに向いています。(詳細はこちらの記事をご覧下さい。)
耐久性を重視したおすすめプレッシャーボールは?
テクニファイバーの「NFX」やYONEXの「チャンピオンシップ」がおすすめです。空気が抜けにくいので、まとめ買いで球出し練習などに使用しても打球感が落ちにくく長持ちします。(詳細はこちらの記事をご覧下さい)
4大大会はどのボールが使われているの?
全豪オープンは「ダンロップ」、全仏オープンは「ウイルソン」、ウィンブルドンは「スラセンジャー 」、全米オープンは「ウイルソン」のボールが使用されています。(詳細はこちらの記事をご覧下さい。)
まとめ買いしておくと、「あっ!ボールがない!」ということを防ぐことができます。