現在のテニスラケットは黄金スペックと呼ばれる、
- 重量:300g
- バランス:320mm
- フェース面積:100平方インチ
というスペックのラケットを主流に、
- 「少し重くてフェースの小さい」コントロール性を重視した競技者用モデル
- 「少し軽くてフェースの大きい」パワーがない方でも良く飛ぶモデル
という感じに大きく分かれています。
黄金スペックと呼ばれるだけあって、このスペックのラケットは「サービス」「ストローク」「ボレー」各ショットが打ちやすく、パワーのある(飛びが良い)ラケットが多いので「攻撃的なショット」も打ちやすいというメリットがあります。
最も売れるスペックなので各メーカが新製品を次々に投入し、かなりの数のラケットが存在しています。
本記事では私がこれまで打ったラケットの中から黄金スペックの指標である「フェース面積:100平方インチ」「重量:300g前後」に絞り、各メーカーのラケットを比較してみたいと思います。
似たスペックでも打球感が「硬い」「柔らかい」、ボールが良く飛ぶ、あまり飛ばないなど結構差があるので、黄金スペックのラケットでどれにしようか悩まれている方は是非読んでみて下さい。
比較サマリー
*2023-04-30 更新
これが私の評価結果です。
図を大きく閲覧したい方は画像クリックで拡大されます。
では、以降メーカー別に詳細を語っていきます。
YONEX
イメージ | ラケット名称 | 重量(g) | バランス(mm) | フレーム厚(mm) | ストリングパターン |
---|---|---|---|---|---|
VcorePRO100 | 300 | 320 | 21 | 16x19 | |
VcorePRO100'2021 | 300 | 320 | 23 | 16x19 | |
VcorePRO100JP | 295 | 320 | 23-23-22 | 16x19 | |
VcoreSV100 | 300 | 320 | 25-25-22 | 16x19 | |
Vcore100'18 | 300 | 320 | 24-25-22 | 16x19 | |
Vcore100'21 | 300 | 320 | 24-25-22 | 16x19 | |
Vcore100'23 | 300 | 320 | 25.3-25.3-22 | 16x19 | |
EZONE100'2017 | 300 | 320 | 24-26-22 | 16x19 | |
EZONE100'2020 | 300 | 320 | 23.5-26-22 | 16x19 | |
EZONE100'2022 | 300 | 320 | 23.8-26.5-22.5 | 16x19 |
YONEXでは「EZONE100」が最も良く飛び、打球感がソフトです。
「VCORE100」は2021年モデルになり、打球感が結構変わっていて、柔らかくなって、飛びも増した印象でした。
どちらも回転が良く掛かかるので、スピンを多くかけたい方におすすめです。
「VCORE PRO100」はこの中でもっともフレームが薄くなっていてラケットのしなりが感じられる機種になります。
コントロールを重視される方に向いているラケットです。(2021年最新モデルは前作よりも若干フレームが厚くなりパワー感も増しています)
HEAD
イメージ | ラケット名称 | 重量(g) | バランス(mm) | フレーム厚(mm) | ストリングパターン |
---|---|---|---|---|---|
GT-Extreme'17 | 300 | 325 | 23-26-21 | 16x19 | |
G360+InstinctMP | 300 | 320 | 23-26-23 | 16x19 | |
G360Speedmp | 300 | 320 | 23 | 16x19 | |
G360+SPEEDmp | 300 | 320 | 23 | 16x19 | |
SPEEDmp'2022 | 300 | 320 | 23 | 16x19 | |
G360Extreme | 300 | 325 | 23-26-21 | 16x19 | |
G360Instinct | 300 | 320 | 23-26-23 | 16x19 | |
GRAVITY MP'23 | 295 | 325 | 22 | 16x20 | |
グラビティMP | 295 | 325 | 22 | 16x20 | |
グラビティMP Lite | 280 | 325 | 22 | 16x20 | |
BOOM MP | 295 | 315 | 24 | 16x19 |
HEADは「SPEED」「EXTREME」「BOOM」「グラビティ」シリーズが100平方incをメインにしていて、それぞれに「コントロール重視」「回転重視」「飛び重視」といったキャラクターが設定されています。
私の個人的な印象ですが、最近のHEADラケットはグラフィンの恩恵か他メーカーよりも「面安定性」があり、面ブレせずにコントロール性が高まっていると思います。
その分打球感が少し硬質で飛びが抑えられています。
最新のグラフィン360+を搭載したグラビティシリーズは新素材「スパイラルファイバー」が使用され、打球感にしっとり感が加わりました。
最新モデルは「オーセチック」が搭載され、スイートエリアが拡大しより扱いやすくなっています。
「EXTREME」はデビュー当初、ワイドに幅があるフレーム形状でめちゃめちゃ回転がかかるラケットでしたが、最近は少し変わっていて形状も縦長になり昔ほど強烈な回転がかからなくなったような気がします。(腕の問題か・・)
BABOLAT
イメージ | ラケット名称 | 重量(g) | バランス(mm) | フレーム厚(mm) | ストリングパターン |
---|---|---|---|---|---|
PureDrive'12 | 300 | 320 | 23-26-23 | 16x19 | |
PureDrive'18 | 300 | 320 | 23-26-23 | 16x19 | |
PureDrive2021 | 300 | 320 | 23-26 | 16x19 | |
PureAero | 300 | 320 | 23-26-23 | 16x19 | |
PureAero'19 | 300 | 320 | 23-26-23 | 16x19 | |
PureAero'22 | 300 | 320 | 23-26-23 | 16x19 | |
PureStrike100'17 | 300 | 320 | 21-23-21 | 16x19 | |
PureStrike100'19 | 300 | 320 | 21-23-21 | 16x19 |
黄金スペックの元祖となる「ピュアドライブ」
黄金スペックラケットの中でも良く飛んでくれる部類に入り、ボールを飛ばしたいという人向けです。
シングルスで走らされた時や強打でさしこまれた時、ラケットに当たれば相手コートに返るということで守備的シングルスプレーヤーに人気があったりします。
次はナダル選手使用モデルとして人気の「ピュアアエロ」
スペックこそピュアドラと同じですが、こちらは打球感が結構ハード(硬め)です。
飛びも抑えられている為、自分のパワーでボールを飛ばす人向けかなと思います。
ピュアストライクシリーズにも100平方インチモデルがあります。
こちらはフレームが薄めでコントロール性の高いモデルです。
系統的にはHEADのスピードと似ています。
PRINCE
イメージ | ラケット名称 | 重量(g) | バランス(mm) | フレーム厚(mm) | ストリングパターン |
---|---|---|---|---|---|
Phantom100XRJ | 310 | 310 | 20-16.5 | 16x18 | |
Phantom O3 100 | 310 | 310 | 20-16.5 | 16x18 | |
Phantom O3 100'2022 | 310 | 310 | 20-16.5 | 16x18 | |
X100 | 290 | 325 | 24.5-24.5-20 | 16x18 | |
Beast100 | 300 | 320 | 24-26-23 | 16x19 | |
Beast O3 100'19 | 300 | 320 | 23.5-25-22 | 16x19 | |
Beast O3 100'21 | 300 | 320 | 23.5-25-22 | 16x19 | |
Beast DB 100'21 | 300 | 320 | 24-26-23 | 16x19 | |
BeastMAX | 300 | 320 | 22-27 | 16x18 |
PRINCEの代表的な黄金スペックである「BEAST100」
O3ではない(フレームに大きな穴がない方)モデルは、結構締まった打球感で飛びが抑えられているように感じました。
O3を選べば飛びは良くなるので、気になる方は両方打ってみることをおすすめします。
またO3の方がオフセンターでインパクトした時のアシスト力も強めです。
次にラケット界の異端児、「X100」
特徴はシャフト部分のねじれ。
フォアとバックで打球感を変えるというコンセプトでねじれたラケットを開発したそうです。
正直大きな違いを感じることはできませんでしたが、普通にバランスの良いオールラウンドに使えるラケットだと思います。
PRINCE最後は「ファントム」
フェイス面積100平方インチという括りで一応ご紹介しますが、これは黄金スペックではありません。
「見た目めちゃめちゃカッコいい、フェイス面積100だしなんとかなるだろ」
というノリで購入しちゃうと痛い目にあうラケットです。
このラケットは競技者向けラケットのなかでも難しい部類に入ると思うので、腕を磨いてからの方が良いと思います。
Wilson
イメージ | ラケット名称 | 重量(g) | バランス(mm) | フレーム厚(mm) | ストリングパターン |
---|---|---|---|---|---|
ULTRA100 | 300 | 320 | 24-26-23 | 16x19 | |
ULTRA100'2022 | 300 | 320 | 24-26.5-23 | 16x19 | |
CLASH100TOUR | 310 | 306 | 24 | 16x19 | |
CLASH100PRO'22 | 310 | 306 | 24 | 16x20 | |
BURN100S CV | 300 | 320 | 23-25-23 | 18x16 | |
ウルトラツアー100CV | 293 | 330 | 22 | 16x20 | |
ブレード100 | 300 | 320 | 22 | 16x19 |
WILSONの黄金スペック代表は「ULTRA100」です。
「柔らかすぎず、硬すぎず、飛びすぎもしない」感じでしょうか。
打球感がクリアで打っていて気持ちが良いという印象があります。
面ブレの少なさからボレーが非常に打ち易いモデルです。
似たデザインで性格の違う、「ウルトラツアー100CV」も発売されています。
こちらはバランスが330mmとかなりトップヘビーなのが特徴で、フレーム自体のトビは抑えられていますが、スイングスピードが出しやすく強いボールを打つことが可能です。
次にストロークのスピンに特化した、「BURN100S CV」。
スピンエフェクトテクノロジーを搭載した、「18×16」という独自のストリングパターンになっています。
スピンを重視したい方は注目の1本です。
もう1つ、2019年に登場し2022年2代目が登場した「クラッシュ」シリーズ。
これまでにない柔らかな打球感が特徴です。
2代目は弾きの良さも加わっています。
ラケットのしなりを味わいたい方は是非打ってみてください。
DUNLOP(SRIXON)
イメージ | ラケット名称 | 重量(g) | バランス(mm) | フレーム厚(mm) | ストリングパターン |
---|---|---|---|---|---|
RevoV3.0 | 300 | 320 | 23-26-23 | 16x19 | |
RevoCV3.0F | 300 | 320 | 23-26-23 | 16x19 | |
SX300 | 300 | 320 | 23-26-23 | 16x19 | |
SX300'2022 | 300 | 320 | 23-26-23 | 16x19 | |
CX400ツアー | 300 | 320 | 23 | 16x19 | |
FX500'2023 | 300 | 320 | 23-26 | 16x19 |
ダンロップラケットを語るにはSRIXON時代から遡る必要があるので、そこから紹介します。
SRIXONからは和製ピュアドライブと呼ばれる「REVO CV3.0」が発売されていました。
ピュアドライブより飛びが抑えられていて、尚かつSRIXON特有の柔らかさがあります。
ピュアドライブが飛びすぎるのでREVOに変えたという友人もいますし、私もその1人・・(正確には私はV3.0ですが)
同じ3.0に「REVO CV3.0F」という少し硬質で反発性の強いモデルもラインナップされていて、ボールにスピードを求める方にお勧めできるモデルになっています。
2019年12月にはDUNLOPから後継機種、「SX300」シリーズが発売されました。
回転のかけやすさはもちろん、芯を外してしまった時のアシストが良く安定感のあるショットが打てるものになっています。
2021年にはCXシリーズからも黄金スペックな「CX400ツアー」が発売されました。
全てのショットがそつなく打ちやすい優等生タイプです。
パワー系のFX500も人気があります。
2021年に登場したラケットで、2023年にリニューアルされていて、最新モデルは「飛び」と「柔らかさ」が共存し、扱いやすくなりました。
その他メーカー
イメージ | ラケット名称 | 重量(g) | バランス(mm) | フレーム厚(mm) | ストリングパターン |
---|---|---|---|---|---|
T-FlashPS | 300 | 320 | 23-24.5-25 | 16x19 | |
X-BLADE RZ300 | 300 | 320 | 23-26-21 | 16x19 | |
グリンタ100ツアー | 305 | 315 | 22-23.7-23 | 16x19 | |
ビタス100 | 300 | 315 | 23.99-26.17-25 | 16x19 | |
NOVA | 300 | 320 | 23.5 | 16x19 |
Tecnifibreからは「T-FLASH PS」です。
私の個人的印象では今まであげた黄金スペックのなかで「最もソフト」で「最も飛ぶ」モデルになります。
とにかく楽にボールを飛ばしたい方に是非試してもらいたいモデルです。
BRIDGESTONEからは、2019年の新作、「X-BLADE RZ300」。
X-BLADE製法のしなる柔らかさと、中厚ラウンドフレームの飛びが融合したモデル。
薄ラケの打球感が好きだけど、中厚のラケットアシストが欲しい人なんかにおすすめできるモデルです。
スノワートのグリンタ100ツアーは、
「フレームのどこを切っても異なる断面形状を持つフレーム」
が成す、面安定性と柔らかい打球感が魅力です。
回転もかかりやすいので、プレースメントで勝負するプレーヤーに好かれそうなラケットです。
ビタス100は、守備的プレーのアシストが強く、スライスやボレーの打ちやすさが秀逸。
ベテランプレーヤーに多い、しぶとくミスらず堅実なプレーに合うラケットだと思います。
ダイアデムのNOVAは、
✅身の詰まった心地良い打球感
✅オフセンター時のアシストの良さ
が特徴で、ラウンドフレームながら、打球感とコントロール性が高いラケットです。
まとめ
以上、主要メーカーの黄金スペックラケットの比較でした。
私のテニス仲間が使っているラケットのインタビュー記事もありますので、私以外の人がラケットにどんな感想を持っているか知りたい方はこちらをどうぞ。
黄金スペックのニューモデルを打つことができたら記事を更新していく予定なので、時間がある時遊びに来て下さい。
ちょっと飛びを抑えた、競技者用ラケットの比較記事はこちらです。
黄金スペックと同等の人気があるスペックですので、興味があったら読んでみて下さい。
黄金スペックラケット Q&A
- たくさんの機種がある黄金スペックラケットの細かい違いは何ですか?
各メーカーから似たスペック(重さやバランス)が発売されていますが、素材や搭載テクノロジーの違いで打球感に結構差があります。実際に打って評価した分布図がこちらです。ラケットの傾向がつかめると思います。
- 黄金スペックラケットはテニス初心者でも扱えますか?
はい、ある程度の筋力があれば老若男女扱えると思います。パワーに自信がない場合はより軽いモデルをおすすめします。初心者用ラケット選びについてはこちらで詳しく述べてます。
- 黄金スペックラケットだと飛びすぎが気になります。飛びを抑える方法はありますか?
ストリングを太くしてみたり、テンションを上げるなどのセッティングでコントロールは可能です。(ラケットセッティングの詳細はこちら)
それでもダメなら、少しフェースの小さい「競技者向け」ラケットにすることで解決できると思います。(競技者向けラケットの詳細はこちら)
表中のラケット名称は個別インプレのリンクになっているので、気になるラケットがあったらチェックしてみて下さいね。